★黒巻き髪★

~天パをバカにする奴は、自分も天パになってみればイイと思うよっ!梅雨の時期とかマジでめんどいからっ!~

ワイナポトシ③ 標高6000mでは神の声が聞こえる

 

AM 0:00

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パンとコーヒーの軽食をとる。

 

しかし、セシリオは「バキ」に出てくる「烈 海王」に似てる。

 

 

 

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烈 海王

 

 

 

AM 1:00

 

準備をしていよいよアタック開始。

 

 

思ったよりも寒さは感じない。しかし微かな頭痛が不安を掻き立てる。

 

私の雨男っぷりよりヒデさんの晴れ男振りが勝ったようで、天気は良好。輝く星空の下を進んで行く。

 

 

現実離れしたこの現実をありのまま受け止め歩く。息が苦しくても、周りの景色が自然と笑みを取り戻させてくれた。

 

溶けることのないさらさらとした雪景色は、暗闇の中で見るとまるで砂漠のようだった。ヘッドランプが映し出す限られた範囲の粉雪が舞う様子を見ると、まるで夜の砂漠を当てもなく彷徨っているような錯覚に陥った。

 

でも目の前のザイルの先にはヒデさんがいる。最初は喘息が辛そうだったけど、ペースを掴むと段々と楽になっているようだった。

 

お互いどっちがギブアップしても文句は言わない。そう話し合っていたけれど、何故かお互いギブアップはしないと、言葉を交わさなくても分かった。

 

 

 

進んではブレイクを繰り返す。

 

 

 

「ヒデさん大丈夫ですか?」

 

「うん大丈夫。森くんは?」

 

励まし合ってなんとか進む。

 

傾斜が70度はありそうな壁を登る。

 

やっと6000m付近まで来た。

 

ここまで来ると明らかに空気が違った。少し前まで歌いながら歩いていた余裕が、この時点で跡形もなく消え去った。

 

 

最後の九十九折の坂道。

 

 

深呼吸をして、やっと半歩進める。

 

 

アイスアックスが上がらない。

 

 

足が強烈に重い。

 

 

何度も止まって呼吸を整える。

 

 

自分を信じようと思った。今まで結構な困難があったけど、何とか乗り切ってきた自分を信じようと思った。

 

 

段々と空が白んでくる。

 

 

 

 

もう少し。

 

 

頂上まであと数メートル。

 

 

朦朧とする意識の中で声が聞こえる。

 

 

「もう休んでいいぞ。」

 

 

誰の声か分からない。

 

 

 

まだ休めない。視界が暗くなり、ザイルの感触だけで進む。

 

 

 

また声が聞こえた。

 

 

 

「コングラッチレーション!!」

 

 

 

セシリオの声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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目前には見たこともないような景色が広がっていた。

 

 

 

 

 

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2015年 4月 23日 AM7:30 

 

ワイナポトシ 登頂

 

 

 

 

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上の写真はスカしてるけど、実際はこんなん。笑

 

 

(アイスアックスの影がヒゲみたいになってる。とか突っ込まんといて!)

 

 

 

 

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最後の登り坂

 

 

ここで一日の始まりを見た。

 

 

 

 

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振り返ってみると、けっこう険しい道だったみたい。

 

 

 

 

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諦めなくて良かった。

 

 

 

 

 

P.S.2泊3日、本当に色々とお世話になりました。なんだかんだいってセシリオが1番カッコ良かったりする。笑

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全部持ってったなぁ~!!