南米バイク旅 80 アマゾン縦断 BR-319 ③
つづき~
17:30頃から降り出した雨は20:00を過ぎる頃まで降り続いた。明日は朝から走れるだろうか?道は一晩で乾くのだろうか?
色んな不安が頭をよぎったが
高床式で、部屋の前を誰かが通るたびに部屋が揺れるので、そのことの方が気になった。笑
いやいや、そら気になるでしょ!
この建物大丈夫なんっ!?って!
部屋の鍵とかビニールのヒモやったしな!!
それはさておき、朝の明るい内に少し散策を
庭にはスタイリッシュなアヒルがいた。
水辺の集落では、船が必須なのね。
おっちゃんと同じ型の船、浸水してるけど大丈夫?
朝から釣りに出かける人もいた。
渡し船までの待ち時間、宿の子と遊ぶ。
いよいよ向こう側に渡る。
あの坂の上は乾いていて欲しいと祈る。
川では現地の人が洗濯していた。
これがこの人たちの日常なんか。
やっぱ雨季に備えて高床式がデフォなのね。
向こう側に着き、坂を上ったその先には
5km以上に渡る絶望が待っていた。
あ~、一晩じゃ完全に乾かんかったか~。
この時、やはりネックになるのは天気だと痛感した。
粘土質の泥がFフェンダーとタイヤの間に詰まりだしたので、
とりあえずフェンダーを外す。
それでも5mほど進むと
タイヤが泥で一回り大きくなる。
後輪も(なんでオレ後輪オンロードのタイヤで来たんやろ・・・。)
KAIDA、ちょっと大きくなる。
こんなところにまで・・・。
もちろん靴も「かんじき」を履いたみたいになる。
このダートゾーンを抜けるまで気が抜けない。
30cm、ライン取りをミスると終わる。
転倒すると、おそらく抜け出せないだろう。
700kmの道の内、こんな状態の道が僅か30mでもあれば十分に絶望出来ると知った。
道の先の状況を確認しながら、ギアを2~3で、滑りながら、足をついてラインを修正しながら走る。
ニーグリップはせずにバイクを遊ばせながら、肩と上半身の力を抜いて、フロントが滑り出したら反射神経のみで素早く立て直す。
走ることに集中しながら、ゆっくりと難所を越えていく。
慌てない、落ち着いて。自分に言い聞かせる。
5kmほど走ると
ダートを抜けた。
ホッとする。
つくづく思うことがある。
「なんでこんなことしてんやろ?」
分からない。はっきりとは答えられない。
以前、ブログのコメントにも書かれたことがある。
「先生を前に進めるものは何ですか?」
その時は何も答えられなかった。でも、今なら少しはましなことが言えると思う。
以前、何かのマンガで読んだ文句を思い出した。
「人の歩みを止めるのは、絶望ではなく諦め。」。
南米バイク旅を振り返ると、これはその通りだなと思う節がある。
思い返せばこのバイク旅で絶望的な場面は沢山あった。
ペルーで事故に遭い、私自身も怪我をしKAIDAもダメージを受けた。ボリビアの山の中でも転倒したし、標高4500mを超える山頂で雪の中を走り、2度も全身痙攣を起こした。ガス欠で何kmもKAIDAを押して歩いたこともあったし、24時間山中の悪路を走り続けたこともあった。パラグアイでは信じられないような砂の道を100km以上も走ったし、アルゼンチンでは零下の夜を凍えながらテントで過ごした。何度もパンクしたし、マシントラブルもあった。
そんな絶望的な場面に遭遇しても、KAIDAと一緒になんとか乗り切ってきた。つまり、絶望は私の歩みを止めるに至らなかった。ただ諦めなかった。
では、「私の歩みを進めるものは何だろう?」と考えたときに、思い浮かんだのは日本で待っていてくれる人達、今までお世話になった人達だった。この人達を悲しませたくない、自分がやりきるまで頑張って、堂々と胸を張って帰りたい。そう思えたからこそ、私はどんな場面に直面してもKAIDAを手放すことはしなかったんだと思う。
だからきっと、「やりきって無事に帰国する!」という意志が、私を前進させる理由なんだと今なら答えられる。
マナウスまでもう少し。
久しぶりの再会。
おぉーー、キミは南米でも頑張ってたんですね。
アマゾンの植物は基本的に
お祭り気分です。
出で立ちがはっちゃけてるね~。
ここなんてもうお祭り騒ぎですなっ!
電線には奇妙な鳥がとまってます。
ここからはアスファルト!
あーもうアマゾンだわコレ、完全にアマゾンにやって来たわ、オレ。
最後の川を船で越える。
リオ・ネグロとアマゾン川本流の合流地点は、綺麗に2色に分かれていた。
船に乗ること1時間、やっと対岸のマナウスに着いた。
2015年9月2日
アマゾン縦断 BR-319 単独で完全走破
GN125H 2008年モデル 走行距離116000km
転倒、マシントラブルなし。
KAIDA,お疲れさん。
お前は本当にタフなバイクだよ全く。
感想
乾季だから走破できたと思う。道の悪さや難易度でいうと、ボリビアやパラグアイの方が酷い道だったけれど、もしこれが雨季のBR-319だったなら、走破は出来なかったと思う。お天気次第ではオンロードの125ccアメリカンバイクでも走破できる。
問題はガソリンや食料ではない、問題は天気だ。
以上!!